■参加前に体力の不安はありませんでしたか?。
40~50km歩いた経験はもともとありましたが、100kmというのは、未知の世界で、トレイルウォーカーへの参加は、その100kmという未知の世界への挑戦でした。はじめ参加を迷ったときに、小田原のスタート地点から箱根の関所まで歩いてみました。そして大丈夫だと思いました。
小さい頃には毎日あったのに、大人になってなくなってしまった新鮮なチャレンジ、発見、自分の限界を超える楽しさ。それがこのイベントに参加し、100kmを刻むことにはあるとおもいました。
『どうかな?』という疑問は参加の前に確かにありましたが、それは自分ができるかどうかではなく、どれくらいでいけるかな?という疑問でした。
■どのくらいどのようなトレーニングしましたか?
3月に参加を決めたのですが、それからの週末はほぼ毎回トレーニングをしました。時間もまめにはかりながら計画をたてました。チェックポイントごと、または夜などにわけて練習しました。またサポート隊の人たちも巻き込んでファンドレイジングの話やアイデアをだしたりしながら一緒にコースを歩いてもらいました。サポート隊に一緒に歩いてもらうことで大変さを体験してもらい、どのようなサポートがあったらいいのかなどより理解してもらうことができたと思っています。下見をして歩くスケジュールをたてたのもとてもよかったと思っています。下見をしておくと、歩いているときにもうすぐ下り坂だとか、ここを越えれば平坦な道が続くなど、予測ができるので楽になります。
1人でのトレーニングならば、ずるしたり、さぼったりもできますが、グループでの参加なので、メンバーの足をひっぱれない。だから頑張れたんだと思います。4人は大変だけど、4人だからやれたと思っています。
■どのような持ち物を用意しましたか?(装備や当日の食べ物、飲み物、衣類など)?
とにかく靴が重要です。私はトレイルランの経験のある友人にご意見番についてもらい、軽い靴を用意しました。またインソールを入れたり、靴にはこだわりました。持ち物は大きなバッグに衣類や食べ物を詰め、サポート隊にもってもらいました。中に入れるものは、サポート隊も含めた会議で決めました。着替え、好みの食べ物や飲み物などチェックポイントごとに用意しました。サポート隊にはたくさんわがままをいって、チェックポイントでは私たちをもてなしてくれるよう頼みました。CP4のキャンプ場ではカレーを作ったり、バーベキューをしたりして一緒に楽しみました。トレーニングのときに思いついたものは書き出して、サポート隊にお願いしました。レインコートや防寒の服だけでなく、着替えや靴下も気分を入れ替えるために用意しました。
■ファンドレイジングをどのように行いましたか?
参加にあたり、100kmという距離よりも、二の足を踏んだのは実はファンドレイジングでした。このイベントは100kmを歩く、60000円を参加費として払う、ファンドレイジングという3つのハードルがあると思います。その中でも周りを巻き込んでファンドレイジングできるのか?という不安がありました。チームのメンバーで1人3万円出そうと思えば出せない額ではないけれど、チャレンジのためにそれはやめよう、周りの人にわかってもらって出してもらおうと決めていました。
私は自分のブログをもっていて、そこでこのイベントについて書くことによって協力してくれた人がたくさんいました。ブログの読者で、直接あったことのない人もメッセージを書いてくれ、ファンドレイジングに協力してくれました。知らない人に気持ちが届いたことがとてもうれしかったです。4人のメンバーだけでなく、サポート隊やスポンサーの気持ちをしょって100km歩いたんだと思っています。ロンドンにいる友達は、イギリスではOxfamもトレイルウォーカーもよく知られていているからファンドレイジングもやりやすいけれど、ファンドレイジング文化がまだ根付いていない日本ではやりにくいんじゃない?と協力してくれました。
また、メンバーの1人はHIV/AIDSの問題に関心があり、100km完歩よりも自分の挑戦がこの問題に役に立つことがうれしかったみたいです。サポート隊にもファンドレイジングもサポートしてもらいました。直接話したことで、仕事でのお客様からも協力してもらうことができました。
4月に秩父で行われた40kmのウォーキングの大会に練習を兼ねて出て、前泊の手配をメンバーでやり、そこでバーベキューパーティーを企画しました。そこでこのイベントへの参加を説明し、1000円ずつ多めに集金させてもらいました。このほかにもチリもつもれば山となる・・・というように、飲み会のおつりなど細かく集め、合計20万円ほど集めることができました。伝えることができたこと、知らない人に気持ちをいっぱいもらえたことがとれもうれしかったです。私の場合、身近なはずの親に理解してもらうことが一番難関でした(笑)ファンドレイジングを通じて、人に話して信じてもらうことの難しさを感じました。お互いに嫌な気持ちになるのが嫌だったので、強制したくありませんでした。なので、じっくり話を聞いてもらうよう心がけました。
■夜は/睡眠はどうしていましたか?
睡眠をどうするかは、スタート直前まで本当に悩みました。仮眠したほうがいいのか、歩き続けたほうがいいのか・・・。結局、サポート隊の車に寝袋を積み、ゴール地点に宿泊の宿もとりました。イベント当日は、途中で本当に辛くなって、CP6で2時間ほど仮眠をとりました。結果的に、これで生き返ることができました。仮眠をとる直前は、本当に眠くて、道に生えている草が1ドル札に見えたほどでした。サポート隊がいてくれたことで、その場の状況に応じて、仮眠をとることができたので、とても安心でした。
■100kmを完歩できるという確信をもったのはいつでしたか?
練習をしている時点ですでに確信していて、スタートに立った時点で、100kmはいけると思っていました。メンバーともずっと一緒に練習をしてお互いをわかっていたので、不安はありませんでした。ゴール直後は倒れるようなイメージをもっていたのですが、ゴールのときは余裕で、もっと行けると思いました。
■どこが一番辛かったですか?またそれをどう乗り切りましたか?
体力よりも、精神的な部分です。イベント中足を痛めたメンバーがいて、先を急ぎたいのに思うように急げませんでした。タイムを急ぎたい自分と、メンバーへの配慮を欠いてタイムを考えてしまう自分、その葛藤が辛かったです。チームで足並みをそろえることの難しさを感じました。チームとして時間よりも完歩を目指して楽しむメンバーなのか、タイム目標でいくメンバーなのかをはっきりさせることが大切だと思います。
コースでは、CP3から4の間が一番辛かったです。まだ半分も超えてなくて、先が見えず、話の話題もつき、ただ静かに歩いていました。そんなとき『森の熊さん』か何かを歌いながらハイテンションで歩いている他のグループに会いました。彼らと一緒に歌いながら進むことで気分も変わり、とても助けられました。トレイルランのイベントだと回りは敵で互いに助け合うこともなく、タイム狙い、自分との戦いになり、まわりとのコミュニケーションなどもないのですが、トレイルウォーカーは仲間と一緒に歩いて助け合えることが大きな特徴だと思います。似たペースで歩いているチームとはイベント中何度も抜きつ抜かれつをしながら、交流することもできました。
■サポート隊にはどのような面で助けられましたか?
すべてにおいて、ファンドレイジングから気持ちの面においても助けられました。しばりがないので、途中一緒に歩いてもくれました。サポート隊は2チームに分かれ、2台の車で仮眠もとりながら、タイムスケジュールを作って協力してくれました。顔が洗えるようにお湯をバケツに用意してくれたり、だんだん写真を撮る余裕がなくなるので、写真をとってくれたりもしました。そしてゴール地点ではシャンパンで一緒に乾杯しました。この乾杯は最高でした。私に内緒で福井から友人を呼んでくれ、このサプライズ応援団にCPで会えたのはとてもうれしかったです。荷物も軽くなるし、服も着替えられるし、CPで会えることでお祭りのようにイベントを楽しめました。
■トレイルウォーカーに参加してみて、いかがでしたか?
このイベントへの参加は、2007年のトップ3に入るほど挑戦してよかったことです。違う国の方が初めて日本にきて、箱根や杉並木、富士山などを自分の足で歩き、日本を知るいい機会になっていると感じました。最近では、街の中で見る『○○まであと△km』という看板がすべて徒歩圏内に思えてしまいます。それくらい自分の中の尺度が変わりました。
また、ボランティアの皆さんにCPで暖かく出迎えてもらえて心強く、とてもうれしかったです。特にCP7の小山町の皆さんの出迎えや豚汁の炊き出しはとても暖かかったです。コース上でもいろんな地元の方に手を振ってもらったり、応援の声をかけていただいたことに感謝しています。スタッフ、ボランティア、いろんな人の手があってこのイベントができているんだと思いました。
■今年はボランティアで参加されるんですね?
今年もこのイベントにかかわりたいと思いボランティアを希望しました。違う立場でこのイベントに参加するのも面白いと思ったんです。去年サポート隊をやってくれた人たちが盛り上がって、今年は参加者として参加します。自分はできないと思っていた人たちが参加したくなる、どんどんまわりをまきこめる・・そんな魅力のあるイベントだと思います。まわりを巻き込むのはめんどくさいけれど、それがまた楽しいです。本当にやろうと思えば誰でもできるんです。
このイベントでは参加者もボランティアも互いにはげまし合っているように感じました。このイベントは体力も精神力も試されるので、自分に自信がつきます。仕事の長期プロジェクトに取り組むようなものです。このイベントに出るとき、ちょうど仕事を変えようとしているときで、これが達成できたら新しい仕事に挑戦するのも怖くなくなる。自分の熱意が伝えられるようになれば、大丈夫。そんな自分への卒業証書でもあったように思います。
■最後に、今年の参加者の方にアドバイスをお願いします
サポート隊の準備、ファンドレイジング、トレーニングなどイベントスタート当日が始まりではなく、今からがこのイベントのスタートです。今からスタート当日までやることが本当にたくさんあります。これを楽しんでやれば3日間だけでなく、これからが毎日が楽しくなると思います。イベントまで私の頭の中の大きな部分をこのイベントは占めていました(笑)。
100kmをただ歩きたい、いいタイムを出したいという人はこのイベントは違うと思います。メンバーと仲良くなるし、当日のボランティアさんなど人の優しさを感じることができました。いろんな人に助けてもらいました。助けてもらっているだけでなく、自分たちの集めた募金がまた誰かを助けることができるという、助け合いの循環を感じました。
*青崎さんのイベントの感想をブログでご覧になりたい方は、こちらをご覧ください。なんと!イベント中も100kmを歩きながらも更新されています。